本サイトについて
背景
HMC協働プロジェクト「開かれた人文学のための文化資源デジタルプラットフォーム」(2022年10月~2027年3月)では、学内・学外の研究者と幅広く連携し、文書や文物、遺跡、舞台装置などのデジタルデータを仮想的な3次元空間内に配置し、時空間や意味空間などを追求するためのオープンな 文化資源デジタルプラットフォームの構築に向けた基礎研究を行ってきました。 すでに、その第一弾として、2025年3月、稲荷湯修復再生プロジェクト・ヴァーチャルアーカイブを公開しましたが、今回、新たに取り組んだのが「東大書苑Virtual Commons」です。
そのきっかけは、「書籍文化の普及活動のいっそうの推進」を目的として、HMCと東京大学消費生活協同組合(東大生協)の間で締結された包括連携協定(2023年12月4日)です。この協定に基づいて、中央食堂の3Dスキャンデータを素材に新たにVR空間を構築し、その中に書籍部から提供を受けた売り上げデータに基づく可視化を試みています。
そして、2017年9月、中央食堂改装工事の際に不用意にも宇佐美圭司氏の作品<きずな>を廃棄してしまったことへの深い反省、再発防止と歴史の継承への思いを込めて、VR空間内に<きずな>のデジタル復元も試みました。
なお、書籍部から提供を受けた売り上げデータは、2003年度以来、駒場と本郷をあわせると膨大な量にのぼり、現行のVR空間内での可視化には限界もあります。それゆえ、このコンパニオンサイトにさらなる情報を載せています。
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「東大書苑 Virtual Commons」という名前は、HMCと書籍部が協働で展開している「書苑閑談 Book Garden Talk」という対面イベントに倣って、「東京大学と東大生協が長年育んできた”リアル”なコモンズが新たな技術も取り入れながらさらに豊かなものに育っていってほしい」という願いを込めて選びました。「東大書苑 Virtual Commons」の略称は「書苑VC」です。
VRやWebに限らずデジタル技術には「実現するにはお金がかかる」という予算の壁があり、今回もやむなく断念したアイデアがたくさんあります。しかし、小規模な学術研究プロジェクトにとって、デジタル技術はアイデアとチームワーク次第で様々な協働の可能性を開いてくれる、気づきを促す技術でもあります。
技術も社会も変化し続ける中、期間限定の試みではありますが、「東大書苑 Virtual Commons」が、東京大学&東大生協はもちろん、より広く大学と大学生協がともに未来を作っていくための手助けになれば幸いです。
文責:中村雄祐(東京大学大学院人文社会系研究科/教授)
データの概要
本プロジェクトでは、2003年から2024年にかけての書籍売上データを活用しています。 駒場・本郷両キャンパスの生協書籍部から提供された年間売上を加工したものです。 東京大学生活協同組合と東京大学ヒューマニティーズセンターの連携協定によってデータの活用が実現しました。
データの活用
「書苑VC」では、VR空間で<きずな>のデジタル復元を行うとともに、VR空間の中で東大生協ベストセラーの可視化を行っています。 さらにこの「コンパニオンサイト」では、2003年から2024年にかけての書籍売上データをもとに、ジャンル別の傾向やロングテールの構造を分析しました。 「売上データ分析」から参照ください。 一般の書店との共通点や、意外なヒット商品など、大学生協という「場」における出版物の生態を多角的に知ることが出来ます。
制作チーム・権利情報
「書苑VC」制作:Spectrum株式会社・株式会社アルコバレーノ
売上データ提供:東京大学生活協同組合 駒場書籍部・本郷書籍部
売上データ加工・分析:鈴木親彦(群馬県立女子大学)・東京大学HMC協働研究「開かれた人文学のための文化資源デジタルプラットフォーム」プロジェクトチーム
コンパニオンサイト構築:鈴木親彦(群馬県立女子大学)
書苑VCのVR空間で利用した書影データの権利は、出版元に帰属するものです。
本ページに掲載された情報・画像等の無断転載を禁じます。
謝辞
宇佐美弥々(アトリエ宇佐美 株式会社 代表)
加治屋健司(東京大学 大学院総合文化研究科 超域文化科学専攻 教授)
折茂克哉(東京大学 大学院総合文化研究科 駒場博物館 助教)
石田淳(東京大学 大学院総合文化研究科 国際社会科学専攻 教授)
中島達弥(全国大学生活協同組合連合会 常勤理事)
書影の提供にご協力くださった各社に、心より感謝申し上げます。