ICP Tutorial 05

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ICP Tutorial:第5回 ICPを使ったキュレーション活用例の紹介

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ICPを使ったキュレーション活用例の紹介

(チュートリアルは暫定版です。最新情報に合わせて随時更新をする予定です。)

ICPは利用者にIIIFを自由にキュレーションする機能を提供します。キュレーションは使う方の発想次第で様々な活用方法があります。CODHが想像もしなかったキュレーションの活用がなされることを楽しみにしています。

ここではICPによるキュレーションを活用した例として、「日本古典籍キュレーション」「顔貌コレクション」「武鑑全集」をご紹介いたします。

(1)日本古典籍キュレーション http://codh.rois.ac.jp/pmjt/curation/

「日本古典籍データセットでは、有名な古典文学、挿絵の多い本、また旅行ガイドのような実用的な書物など、様々な作品が提供されています。これらを横断的に閲覧し活用することで、研究としても娯楽としても興味深い発見をすることができます。 日本古典籍キュレーションは、その一例としてIIIF Curation Viewerの機能を用いてテーマごとに日本古典籍データセットから画像を切り出し、解説文とともに紹介します。」

日本古典籍キュレーションはキュレーションを活用した試み中では比較的単純なものですが、基本的な機能を活用したものでもあります。特定のテーマを決めて古典籍をキュレーションして画像を集め、それに対して解説文を準備しています。いわばキュレーションを利用したWeb記事ということができるでしょう。解説文からキュレーションの該当コマへリンクを張ることで、画像へのアクセスをしやすくする工夫も行っています。

このような読み物としてのキュレーションは、もう少し文章を短くしたり、表示時間を工夫したりと手を加えることができれば、ICPlayerと連携させてより効果的に示すことも可能でしょう。

(2) 顔貌コレクション(顔コレ) http://codh.rois.ac.jp/face/

「「顔貌コレクション」は、美術作品に出現する顔の部分を切り取って集め、それを美術史研究(特に様式研究)に活用するプロジェクトです。描き方から作者や工房の特徴を読み取りやすいため、顔貌表現は様式研究の重要な素材の一つです。日本の絵巻物を中心として古今東西の美術作品から顔貌を切り取って収集し、顔の描き方を比較検討することで、例えば絵師や工房の異同を推定したり、影響関係を見出したりすることが可能になります。」

顔コレにはICPのすべての機能を活用しています。ICViewerを利用して国文学研究資料館、慶應義塾大学および京都大学が公開している江戸時代の作品から顔貌を切り出したキュレーションを作成し、ICViewerとICEditorを使ってメタデータを付与しました。その結果をICFinderで検索・閲覧可能にしています。

美術史研究の視点で、特定のテーマやメタデータで絞り込んで作品比較を行うことを目的としていますが、単純に顔を眺めるだけでも面白いというキュレーションの持つ魅力を活かした使い方でもあります。

またCanvas Indexerの連携機能を使って、外部のアルゴリズムにデータを提供し、機械学習を用いたタグ付けも試みています。

(3) 武鑑全集 http://codh.rois.ac.jp/bukan/

「江戸時代の200年続いたベストセラーである『武鑑』を網羅的に解析し、江戸時代の大名家や幕府役人に関する人物・地理情報などの中核的情報プラットフォームを構築するプロジェクトです。」

武鑑全集は、ICPによるデータ作成を行い、作成したデータを別の形式に合わせて再編集した例です。江戸時代の藩の『会社四季報』や「名士録」に当たる武鑑のIIIF画像を対象に、ICViewerを使って大名家の紋や道具をキュレーションし、メタデータを付与しています。

250を超える大名家のキュレーションを作成し、その結果をJSONkeeperに保存しました。この結果を、さらにAPIを利用してCuration JSON形式データとしてダウンロードし、再編集して公開しています。

ICPのみで公開までを完結させる必要はなく。データ作成部分をICPが、公開部分は独自手法でという、連携によってキュレーションを活用した例になります。

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